樹木剪定(庭木のお手入れ)編その1.木のことを知る
樹木を知る3つのポイント
- 庭木のどこをどのように切ったらいいのかわからない
- とりあえず切ってみたけどなんだか見苦しい~
- もう少し見栄え良く剪定できればいいのに…
- もうヤダ…どうしたらいいかわからない。こんな木いらない…
こんなお悩み、ありませんか?
私もお客様や友人などから「家の庭木、どうしたらいいかわからないよー」という話を良く聞きます。
今回から何回かに分けて剪定のセオリーを書いていこうと思います。
剪定には幾つかのセオリーがあり、誰でも綺麗に仕上げることができるポイントがあるのです。
私は造園業に携わる中で、剪定された庭木を見てきましたが、綺麗だなと思う剪定はポイントを抑えています。
この記事では、まず最初に知るべき3つのポイントを紹介します。
この記事を読むと、今までよりずっときれいに剪定することができるようになります!
まず最初に知るべき3つのポイント
- 【剪定の適期】を知る
- 【地域・樹木の環境特性】を知る
- 【樹木の健康状態】を知る
まずは相手(木)を知る、ということです。
それではやってみましょう!
前提条件:木の名前を知る
最も最初にすべきことは木の名前を調べ、知ることです。
あまり細かい品種名まで調べる必要はありません。桜、モミジ、カシ、ツツジ、など「〇〇の木」までで良いと思います。
ただし、花の咲く木については、花期(花の咲く時期)を調べ、出来れば品種まで調べましょう。
最初に知るべき3つのポイント
ポイント① 樹木の剪定適期を調べる
樹木には剪定に適切な時期があります。
剪定は木を美しく見せたり、病害虫を予防するだけではありません。
剪定は、木にダメージを与える作業とも言えます。自然界であれば大いに伸び伸びと成長する木を、剪定することで庭に合わせた大きさに留めたり、健全な枝を切除して成長を抑制するわけです。
ダメージを最小限に抑えるために、適期に剪定することはとても大切なことです。
主な剪定適期は下記のようになります。
落葉樹の剪定時期
- 落葉樹:冬前にすべての葉が落葉する樹木(モミジ、ナツツバキ、ハナミズキなど)
- 落葉中の晩秋から芽吹き前の休眠期
常緑樹の剪定時期
- 常緑樹:1年中、葉をつけている樹木(ソヨゴ、モッコク、サザンカ、ツバキなど)
- 新芽の前の3月下旬~4月
- 伸びた新芽が成熟して固まる7月~8月、10月~11月
針葉樹の剪定時期
- 針葉樹:スギ、コニファー類、モミ、ヒノキなど
- 芽吹き前の3月下旬~4月
花が咲く樹木については、花芽に関心を向ける必要があります
花が咲く樹木の剪定時期
- 花芽分化の時期を把握する(花芽を切り落としてしまうと、花が咲かなくなってしまう)
- 一番おすすめは、花芽分化後に剪定をしないこと
- 花芽分化とは…?
- 芽には花芽と葉芽があります。
植物はその年に伸ばした枝に新芽を出し、新芽は花芽分化期に花芽と葉芽に分かれます。
この時期に極端に芽が少なかったりすると、光合成をするために葉芽を多くする傾向があります(=花芽が減る)。
ですので、【花芽分化する前に剪定をする(花芽分化後には剪定しない)】もしくは【花芽を見極めて剪定する】ことが必要になります。
後者は見極めが難しいことも多く、花芽分化後に剪定をしない、ということが一番良い方法です。どうしても剪定しなければならない場合は弱い剪定を心がけましょう。
弱剪定:枝先のみに重心を置いた軽い剪定(ただし枝先に花芽がつく木の場合は、切らない枝先も残す)。整える程度、と覚えてよいと思います。
正しい剪定時期は「樹木名 剪定時期」のワード検索で簡単に調べることができます
とは言え、常に適期に剪定することも難しいと思います。
適期でない時期に剪定したい場合は弱剪定を心がけ、心配な場合は庭師などに相談しましょう。
ポイント② 地域・樹木の環境特性を知る
樹木には生育に適した環境があります。その木が自然界(森や林などの中)で自生している環境が最も適した環境と言えます。
しかし自宅の庭木などの場合、必ずしも樹木にとって適切な環境である、とは言えない場合が多いでしょう。
長い年月、植えられて剪定を繰り返されてきた木は、その環境や剪定にある程度順応していることも多いと思います。
しかし、ある程度その木がどういった環境を好む木であるのか、知っておくことで樹木に大きくダメージを与えずに剪定ができます。
例えば、日陰を好む樹木が日向に植えられていることがあります。そのような木を暑い時期に剪定すると、より一層ダメージを負ってしまうのです。
木の環境特性を知り、地域や庭の環境特性と比較をして、生育環境が適当であるかを知ることが第一歩です。
木の環境特性を知る
チェックすべき木の環境特性とは、例えば次のようなことです
- この木は特性に合った場所に植えられているかな?
- 日は当たりすぎていないかな?
- 土は乾きすぎていないかな?
つまり、
- 耐寒性
- 耐暑性
- 日当たり(日陰~半日蔭~日向)
- 耐乾性(乾燥・湿潤)
を知ることが重要です。
地域の気候を知る
- 寒地~暖地
- 氷点下になるかどうか
- 標高
など、住んでいる地域の天気はこの木にとって寒すぎないか?暑すぎないか?を知りましょう。
庭の環境を知る
- 方角
- 日当たり
- 西日の当たり具合
- 土の乾燥具合
など、「この場所は西日が当たるな…」「隣に池があるけど、土の水はけは悪くないか?」「家の陰になっていないか?」をチェックしましょう。
ポイント③ 樹木の健康状態を知る
健康状態って…医者じゃないんですけど~!
大丈夫です。まずは自分で観察してみましょう!
樹木は生き物なので、人間と同じで健康状態があります。ただ人間と違って比較的時間がゆっくり流れており、健康が悪化するのも良化するのも時間がかかります。
樹木の観察ポイント
- 全体的に弱く見えないか?
- 葉の色はどうか?いつもより緑が薄く、黄色っぽい。茶色っぽい。
- 毛虫などがいる様子はないか?葉に穴が開いている。幹に穴が開いている。アリが木に登っていく
- 幹肌はどうか?穴は開いていないか?ボロボロしていないか?亀裂はないか?
- 白っぽい粉や苔がないか?
これらの様子を見た結果、異状があった場合は剪定しないほうが良いことが多いです。
剪定はダメージを与える作業です。まずは治療をしてから剪定をすることが第一です。
どうしても剪定をしたい場合は、健康を損なっている状態であることを考慮して適した剪定をする必要があります。
難しい場合は庭屋を頼むか、樹木医に相談しましょう。おすすめは樹木医のいる造園屋です。
まとめ
今回は、樹木を剪定する前に知るべきことについて解説をしました。
- 【剪定の適期】を知る
- 【地域・樹木の環境特性】を知る
- 【樹木の健康状態】を知る
先に相手を知るということは少々面倒だなぁと思うかもしれません。
そんなことより早く剪定したい、なんだっていいから剪定できればいいんだと思われるかもしれません。
しかし剪定はダメージを与える行為です。木は健全な問題のない体を人間都合で切り刻まれるわけです。
風通しが良くなった、木も喜んでいる!
これは誰にもわかりません。少しでも優しく接することが成功の秘訣だと思います。
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